2015年5月20日水曜日

はあちゅう『半径5メートルの野望』感想――”当たり前”ができる強さ

はあちゅうと恋チュン


はあちゅうさんの『半径5メートルの野望』。突飛なことが書かれているわけではない。特別な境遇にある人にしかできない、特別なメソッドが提示されているわけでもない。いうなれば「当たり前」のこと、誰もが「そうすべきだよな」と思える方法や考え方がまとまっていると思う。でも、誰もがはあちゅうさんのようにはなれない。それはつまり、「当たり前」を続けることがいかに困難なことかということなのかもしれない。


発売してすぐに読んだ後、同僚に貸していたのが戻ってきたので、メモしておいた箇所について感想をまとめておく。


「あいつなんてもう終わってるよ」と言ってくるような人は、その人自身、何一つとして始まっていないような人(p.27)


この「終わってる」というようなセリフ、聞いたことがある。嫌なものだ。著者はいわれのない非難、誹謗中傷を受けてきされまくってきたんだろう。過去形ではなくて、今でもきっとあるようだ。

でもそんなのは聞き流せばいい。気にすることはない。

……と思うんだけれど、そうは言っても、こと自分が言われたら負けず、くじけずにいられる自信はない……。

夢を叶えるには「ノリを良くする」ことが不可欠です(p97)


AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」に「ツキを呼ぶには 笑顔を見せること」という一節がある。

ここはとてつもなく好きで、聴くたびに「うんうん」と頷くし、ちょっと泣きそうにもなってしまうのだが(苦笑)、これにつながっているような気がする。

前向きな気持ちと前向きな行動を心掛けること。

いろいろうまくいかない人って、発想や発言がネガティブなことが多い。「そんなんでいい方向に向かうわけないだろ」って思ってしまう。


……言わないけど。

夢を叶えるためには、まず具体的なイメージを持つことと、明日でも明後日でもなく、「今日から自分の行動と意識を変えること」だと思います。そしてポイントは、叶った瞬間のイメージだけではなく、叶うまでの過程のイメージを同時に持つことです。(p131)


本でも何でもいいのだが、「この考えいいなぁ」「自分もしなきゃ」と思うことはよくあるはず。でもそれを読んだり聞いたりした全員がそれを実現できてない理由の一つは、「今日から」できていないということだろう。

また、成功したところを思い浮かべるよう勧める文章は時々読むが、ここでは、「叶った瞬間のイメージ」だけでなく「叶うまでの過程のイメージを持つこと」も勧めているのが具体的かつ実践的だ。

自分軸がない人は、やたら誰かとつながりたがったり、所属する場所を求めていて、居場所をつくることに時間をかけがちです。でも実は、目に見える居場所づくりよりも、目に見えない居場所づくりのほうがよっぽど大切だと思います。居場所なんて誰かの心の中に少しだけあれば十分だし、心の中は相手のものなので自分ではコントロールできません。誰かの記憶に残る自分になることを意識して行動すれば、自然と多くの人の心の中に自分の居場所ができています。それがそのまま、その人の人生の価値になるのではないでしょうか。(p135)



「つながり」「絆」といった言葉をよく聞くようになった気がしている今、この「目に見えない居場所づくり」という考え方、「居場所なんて誰かの心の中に少しだけあれば十分」という点はとても納得した。
こういういい意味での開き直り、覚悟は、強いからこそできる。

いや、強くあろうと固く決めているからできるのだろう。

「つながりたい」というのは弱い証拠。
もちろん、「つながろうとする」気持ちを持ってはいけないとは思わない。人間、いくら強くても、心が弱るときもある。そういうときに家族や友達を求めることもある。

しかし、「あなたがいなきゃダメ」「誰かといなきゃダメ」という状態は決して健全ではない。

例えば顔のコンプレックスがあったとしても「だから自分は、幸せになれない。人を避けるように生きよう」と思う人と「だから私は、美人の3倍笑っていよう」という人とでは、同じ顔でも全然違う人生になる。(p153)


これは顔だけの話じゃない。
身体的なコンプレックスの話に限るものでもない。置かれている状況をはじめ、自分ではどうしようもない(望み通りにならない)問題を抱えている人にも当てはまること。

世の中の悩んでいる人には、「本当に悩んでいる人」と「悩んでいるフリをして、逃げている人」の2種類にわかれます(p157)


これはギクリとした。悩んでいるフリをするのは簡単だし、“かわいそうがられる”から、ついつい悲劇のヒロイン(ヒーロー)ぶってしまう。
読んで思ったのは、本当に悩んでいる人の多くは、悩んでいるようには見えない(ようにしている)のではないだろうかということだ。

自分の内側を掘らないと、出てきません。外ではなく、中に中に掘っていく。答えというのは、外にあるとは限らない(p162)


これも自分と向き合って向き合って考え抜いたからこそ出てきた言葉だ。
自分と向き合うことの大切さ。
「何かをしよう」と思ったとき、つい本を読んだり、イベントに出たり、人に会ったりしようとする。外的要因にばかり頼りがちだったかもしれない。

まともに生きてる人って、そんなに他人の人生に興味がない(p178)


これはホントそう。そもそも自分が気にしてもらえるほどのものか!?

さらにいえば、自分の人生に最大限の興味をはらっていると言えるか。自分すら興味をもって向き合っていない人生に、なぜ他人が興味を抱くのか。そんな訳がない。



こういう前向きな気持ちになれる考えに触れたとき、

「でも自分には何もないから」「何をしていいのか、どう頑張っていいのか分からない」

と思ってしまうことはあるだろうが、はあちゅうはこの考えにも答えを提示している。

「やりたいことがないうちは、自分の興味のアンテナが弱い」(p132)


他人の人生に関心を持つヒマがあったら、
自分と向き合い、掘り下げ、
弱点や短所を強み・長所と考える。

ノリをよくし、(夢や目標が)叶うまでの過程と叶った瞬間をイメージし、
悩むそぶりなど見せず、今日から、今からその通りに行動する。

そうすれば、やりたいことも、やり方も見つかるはずだ。