2015年2月28日土曜日

姉妹妻という百合好きには激推奨の話――『乙嫁語り(7)』を読んで


乙嫁語り(7)を読みました。今回は「姉妹妻」のお話なのですが、百合好きにはたまらん回でした。


姉妹妻とは、結婚して子供のいる女性同士が、同じ、夫を持つ妻として、子を持つ母として契りを交わす。相手の嫌がることは絶対にしない、陰で悪口も言わない。嬉しいことも悲しいことも、悩みもなんでも話して、お互いの心の本当の理解者になる、一生の親友とのことだそうです。

舞台となる世界、地域では、男性は四人まで妻が持てますが、平等に扱うという条件があるようです。

以下、少しネタバレしますが、

今回の乙嫁アニスは、裕福で心の優しい、いい夫に愛されており、子宝にも恵まれて幸せな日々をおくっているのですが、心のどこかで寂しさも感じていました。

そうした前提のなかで、ある日、乳母でお手伝いのマーフに、風呂屋の存在を聞き、夫に懇願。マーフと一緒に風呂屋を初体験することにします。

初めて行ったところ、ある女性出会い、なぜか心ひかれます。スリムで華奢、胸も大きくないアニスに対して、彼女は胸も大きくポッテリとしたセクシーな唇。髪の長さも含め対称的な二人。だからということもないのでしょうが、アニスにとっては、彼女は最初の瞬間から他の女性とは違って見えたようです。

しかし、再会を期待して風呂屋に行くアニスでしたが、その女性と出会えません。約束していつ訳でもなければ、メールやスマホはおろか電話もないのですから、予定を合わせて行くことも叶いません。

そしてようやく風呂屋で再会したとき、アニスは彼女に「次はいつくるの?」と聞きます。

アニスはもう彼女に恋する乙女のように惹かれているので必死です。

しかし相手はアニスほど裕福ではないため、そう何度も来れません。

そういった状況のなかで、アニスは悩みます。


「どうやって待ち合わせしたらいいかしら………」

そして思い付きます。


「………雨

雨がふったら会いましょう?

雨がふったら 私 次の日ここにくるわ」


せつなくて身悶えするような素敵な約束。
思わずうなりました。

その後、二人は姉妹妻となるのですが、まさに契りを交わしたその日、相手の女性に不幸が襲います。


アニスは悩み、ある提案をして、彼女とその家族の幸せを取り戻し、話は終わります。

要はアニスの夫が助けるかっこうなのですが、彼はいいます。

「誰かを助けるだけの力がありながら
それを使わないのは
よくないと思いませんか?」

この終わり方については、私はまったく疑問に思いませんでした。アニスの夫の言うこともその通りだと思う。

しかし、女性の立場ではどう感じるんだろうか?とは思いました。
もちろん、四人まで妻が持てるという時点で今の日本とは状況は異なりますが、それでも女性の意見を聞いてみたいと思いました。