この作品で驚きだったのが、車中の大統領を”手でする”シーンがあるということ。もちろん、そのものずばりではないけれど、車が揺れる描写で何をしているかは分かる。いくら昔のこと、ユーモアが評価されるお国柄といっても、その描写が許されるって何なんだ?と思ってしまった(それで制作がアメリカじゃなくてイギリスだってところがまた……)。日本で首相をこうやって描くことなんてちょっと考えられないのだけど。
別の日には、メリル・ストリープとトミー・リー・ジョーンズが31年連れ添って倦怠期の夫婦を演じた「31年目の夫婦げんか」を観た。時間的な都合で偶然観たのだけれど、結構いろいろ考えさせられる内容だった。
話の筋はこう。ダンナは仕事に夢中で、家ではテレビの前に座ってずっとゴルフ番組を観るだけ、プレゼントはアクセサリーではなくて家電、セックスはずっとない。妻は女性扱いしてもらえないことに嫌気がさしており、意を決してカウンセリングに(HOPE SPRINGSという街にあるクリニックへ)行こうと提案する。ダンナは嫌がるのだけれど、結局は行くことになり、少しずつ変わっていく、というもの。
下品だという感想もあるようだけれど、決してそんなことはないと思う。途中、ダンナが妻を女性扱いしていないこと、セックスしようとしないことをはぐらかすシーンで、館内で笑いが起こったが、妻の気持ちを考えると笑えなかったし、「笑うとこじゃねぇだろ」って思ってしまった。世にはたくさんあんなダンナさんがいて、苦しんでる女性がいるのでしょう……。
テーマは必ずしも老いと性だけではないですが、なかなか踏み込めない題材によくあそこまで正面から挑んだと思います。名優2人だからこそ成り立ったのかもしれません。
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