2015年1月2日金曜日

小籔千豊さんと中川淳一郎さん 2人が否定するもの――年末年始に読んだ本『夢、死ね!』『中身化する社会』


年末のアメトーーク!5時間SPが2014年の放送を振り返る内容で、小籔千豊さんの名言が紹介されていた。

「テレビ出てる人間は異常者ばっかり。普通の人間は出れへん。 ヘンなヤツばっかり出てるから、マネするなよ子供は! 夢なんかすぐ捨てろ! やりたくないことをやるのが社会! それがジャングルや!」というもの。この「やりたくないことをやるのが社会」というのは、本当にそのとおりだと思う。



小籔さんはまた、社会に出る前の子どもに大人が「がんばれば夢は叶うんだよ」と言い続けるから、大した準備もせずに社会に出た子どもが、聞いていたことと違う過酷な社会に驚き、すぐに引きこもってしまうんだという持論を展開していたが、これもなるほどと思った。

年末年始に読んだ2冊がたまたま星海社新書だったのだけれど、そのうちの1冊が『夢、死ね!』というタイトルだった。




中川淳一郎さんの『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘 』は、小藪さんの名言と似たようなタイトルだが、向けられた先は子どもではなく大人だ。Twitterで「クソ」「うんこ食ってろ!」などの発言をすることもあって(プロフィールに、口癖として紹介されているほど)、中川さんを色眼鏡で見ている人もいると思うが、これは仕事人、特に経験の浅い若手リーマンは必読だと思う。

サブタイトルに「若者」とあるが、仕事の不平不満を言ってる、成熟していない愚痴リーマンは若くなくても読むべきだ。フリーランスも同じ。学生が読んでも実感がないかもしれないが、おおよそこの手の本は、本当に読むべき人は自覚症状がなく読まないから、伝わらないものなのだけれど。

謹言はいくつもある。たとえば、
「仕事は社会と接点をつくるための活動である」
「人が仕事をするのは『怒られたくないから』」
「ワークライフ・アンバランスでいい、仕事をプレイと考えよ」
「他人のせいにするからストレスに感じる、自分のせいと考えればいい」
など、いずれも本当で正しいと思う。大手広告代理店を経験した後、フリーで成功するまで苦労している中川さんだから書けるのだろう。

次の『中身化する社会』 はちょっと前の本だが、編集者で菅付さんを知らない人はいないだろう。恥ずかしながらこの本は読んでいなかったのだけれど、書店でパラパラとめくったら面白そうだったので買ってみて、一気に読んだ。

かんたんにいうと、海外で起きているラグジュアリー離れ、働き方や衣食住・消費スタイルの変化の流れ、潮流を紹介するもので、「本質的なもの」が求められるようになっている、「豊かさ」の定義が変わっていることなどを指摘している。“ソーシャルグッド”なライフスタイルマガジンが次々と発刊されていることや、支持を集めている新しいソーシャルなウェブサービスなどが紹介されていて、情報の収集・整理のうえで参考になった。知っている人には、「ただ情報を集めただけじゃないか」と言われるかもしれないが。

特にラグジュアリー離れについては、自分の本業にも関わることなので、その背景の紹介と分析には思わずうなった。自分にはまだ暫定的にも答えがないので、引き続き仕事へのつなげ方も含めて考えたいと思う。

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2015年、あけましておめでとうございます。昨年は1エントリーもない月があったので、今年は短くてもいいので書いて、考えを整理していきたいと思います。よろしくお願いいたします。