2016年1月22日金曜日

10年後の自分に感謝される仕事を 愛する人・大切な人に勧められるプロダクトを



「10年後の自分がタイムマシンで会いに来たときに、彼から感謝されるような仕事がしたいんです。10年前の今の君のおかげで10年後の自分がいるんだと、そう言われたいんです」--。


先日仕事でお会いした男性に言われた言葉だ。一見したイメージは、冷静・クール。仕事をテキパキとこなしそうな、ちょっと近寄りがたい感じの彼だったが、ちょっと話して分かった。この人はアツい。話を聴いていてワクワクしてきた。



彼は「もちろん、きれいごとばかり言うつもりはないし、ビジネスだから売り上げやコンバージョンをないがしろにしてはいけないし、そのつもりもない」と言いながらも、仕事に取り組むときの心持ちや大切にしていることをいろいろと披瀝してくれた。「サービス・商品を届けるべき相手のためになることなら、やる。やらなきゃいけない」。


僕は彼と会うのは初めてだった。


とはいえ、同席した僕の同僚は彼とは何度かあっているため、僕たちの会社との面談が初めてというわけではない。


しかしそう長いこと付き合ってきたわけではない僕たちに向けて、「青臭いことばかり言うようで恐縮ですが」と断りながらも、いろいろ聞かせてくれた。


彼の話をふまえて彼の会社のプロダクトを見ると、たしかにアツい。その場で見せてもらったサービスの一部からも、競合他社とはフィロソフィーが違うことが伝わってきた。


そういう相手と出会えたことが嬉しくて、「なるほどなぁ」「なるほどなぁ」と感心して繰り返していた僕に、彼は自社のサービスについてこう述べた。


「自分が愛する人や、大切な人に自信を勧められるモノであってほしいんです。自分はマーケティング担当だけど、だから制作チームにはその目線からいろいろと要望はしている」


ひるがえって自分はどうだろうか。ともすれば効率だけを、目の前のTo Doをこなすこと、売り上げにつながることにとらわれていなかっただろうか。結構がんばってきたつもりではあるが、果たして彼ほどの気持ちを、メッセージを届けたい相手に届くものをつくろうという気持ちを、常に持ち続けてきたか。持とうとしてきただろうか--。




でも、ある意味でこれまでのことは関係ない。要はこれからだ。その場で感じた気持ちを、これからつくるプロダクトに注いでいくしかない。


彼には恥ずかしいものを見せられない。届けるべき相手--僕らの仕事でいえば読者--のためを考えぬいてやった仕事かどうかは、彼には分かるはずだ。ともすれば読者という存在を身近に感じられず、「読者のため」と思いながらも脱線、手抜きしてしまいそうになる中で、あらためて緊張感を持ち直すいい機会だった。