2015年4月2日木曜日

「NewsPicksと考えるメディアの未来」を聴講。自分なりのNPの使い方、評価点に気づく


NewsPicksとサイボウズ式のコラボイベント「NewsPicksをこう変えろ "Pickerピッチコンテスト" Supported by サイボウズ式」に参加した。自分なりに、NPのどこを評価しているのか、どこに不満を感じているのか、今後どう使っていこうとしているのかが整理できた。


ピッチしたわけではなく、後半の「NewsPicksと考えるメディアの未来」というパネルを聴いただけだが、UZABASEの皆さんはもちろん参加者のNewsPicks愛が感じられる、いいイベントだった。

「NewsPicksをこう変えろ」というテーマで前半にピッチしたのは3人のPicker。うちの一人はリクルートエージェントの西村創一郎さんで、ブログで紹介されている。自分は仕事の都合で間に合わず、ピッチが聴けなかったのが心残りだ。

NewsPicksは使い始めて数か月たち、毎日簡単なコメントをつけるようにしているが、意外とNPそのものの成り立ちに関する記事はあまり読んでいなかった。なので、よく知られたこともあるかもしれないが、自分なりに内容を簡単にまとめてみる。

面白いものを生み出すためにNewsPicksが取ろうとしている垣根


後半のディスカッションでUZABASEの梅田優祐社長は、NewsPicksをつくるに至った経緯として、自身の金融機関勤務時代のエピソードを披露。何かニュースが起きたときに、人が反応して職場のデスクまわりがざわつき、なかには解説しだす人もいて、「何かコトが起きているんだ」ということが伝わってきたという。NewsPicksは「それをスマホ上で再現しようと思った」 とのことだった。 これは何だかとても納得のいく目的だと思った。

有料記事が1500円/月が高いという指摘に対しては、「社内でも議論がある」としたうえで、「解がない。キャリアの人には『980円にしたら』とも言われた」と打ちあけた。しかし、「経済という狭い領域でビジネスを成り立たせるため」であるとし、「コンテンツの個別販売ということもいわれているし、値下げもできなくはないが、いまはまだ仮説の検証段階」と述べて理解を求めた。

会場から「NPは学生にこそ読んでもらいたい」という呼びかけがあった。同社はSPEEDAをMBA履修生に開放したりしたこともあるそうで、学生時代にどんなメディアに触れていたかは、成長のカギでもあり、ビジネス面でも、そのまま社会人になって触れ続ける期待ができることから、前向きな受け止め方をされていた。

また会場から「有料会員にならないと分からないメリットもある。 有料と無料の間をつなぐものがほしい」という指摘もあった。この点については、 お試し期間など“当たり前”のことができてないのでそれをやりたいとの回答。

NewsPicksはメディアなのかという鋭い問いかけもあった。梅田社長がNP立ち上げを急いだことについて、「クックパッドが有料化までに時間がかかったこともあって、早くやりたいと思った」という旨の話をしていたので、会場から「クックパッドはメディアを自称していないが、NewsPicksはどうなんだ?」という問いが投げかけられたのだ。

この点については、佐々木編集長が「8カ月やってもわかってきたのは、(NPは)メディアではなくなっていくと思う。なるのはプラットフォームだと思うが、その先にあるものはまだ分かってない」などと答えた。

佐々木編集長の話で分かりやすく面白いと思ったのは、「面白いものを生むためには垣根を取ることだ」というものだ。

説明によると、取りたいのは「分野の垣根」「国や文化の垣根」、「読者と作り手の垣根」、「 広告やビジネスとコンテンツ制作の垣根」、そして「時間(時空)の垣根」だという。これは、 今起きていることだけをその都度追うだけで終わるのではなく、過去の出来事や蓄積された知識を引いてくるのが大事だということらしい。それは教養を追い求めることにもつながるとのことだった。

NewsPicksのコメントで自分のスタンスに気づき、築く


ほかに会場からは、NewsPicksの使い方として、「思考・見解トレーニングの場として重宝している。だから自分と違うコメントをしてくれるPickerにこそ価値を見出している」という意見が聴かれた。

これはとーってもよく分かり、共感した。

以前、月刊経済紙をつくっていたときは、今よりもっと日々のニュース、マーケットの動向に敏感に反応していた。だが自分が社会、経済、金融など、すべてのジャンルについて詳しいわけではない。だから何かニュースがあっても、どう評価したらいいのか判断がつきかねることがあった。

そういうときのために、常日頃自分なりに「この人の意見・見方は参考になる」という人を見つけておいていた。そして、その人の反応を見に、ブログやTwitterなどを巡回するのだ。

ただし、そこで意見を読んで鵜呑みにするのではなく、「この意見には自分は賛同できるな」「いや、自分はこう思わないな」と気づきを得て、自分なりのスタンスを築くという感じだ。

とはいえ、ブログは即座の反応をまとめるところでもないので、「いまあの人の意見が聴きたい」と思ってすぐには読めないし、Twitterでは140字という制限がある。それにブックマークや検索などであちこちのサイトに行って、意見を集めてこなければいけない。

その点、NewsPicksでは、最新のニュースについて即座に反応がある。最近はいろんな意見の人がPickerに名を連ねているので、自分なりに評価している人もコメントしてくれている。だから「自分の見方もそんなにズレていなかった」と思ったり、逆に「あぁ、そういう視点なのかー」と気づかされたりして、参考になる。あちこちブログやTwitterなどを回らなくて済むのがいい。

また、他のPickerのコメントを読まないまでも、起きた出来事に対して、考えてコメントをする作業を繰り返すのは、頭のトレーニングになっていい。Pickされたニュースを読んでは、「うぅ、これはコメントできないなぁ」ということも結構あって、「もっと勉強しなきゃだな」と思わされることも、またいい。

新しい人が入ってきにくい雰囲気がある?


このほかには、「プロピッカーの狙い」「特定の産業について取り上げられることが少ない」といった質問や意見があったのだが、後半でちょっと面白かったのは”内輪感”に関する意見が出たときだった。

来場者いわく、古参のPicker同士がコメント欄でやり取りをしていたり、ランキング上位が同じ人で固定されたりしていて、「新規の人は入ってきにくいのでは?」というのだが、たしかにそれは自分も感じた。

個人間のやり取りについては現状のNewsPicksではできないが、梅田社長は「やるとしたら大きな転換点になるが、今ではない」と明言。ランキング同じ人ばかりという点については、殿堂入りしてもらうとか、集計期間を短くすることで急上昇中のピッカーが取り上げられるなどをはしたい、とのことだった。また重厚長大型、日本の成長を支えてきたような古くからある産業についてあまり取り上げられないことについて、ニュースをPickするのはPickerである点に触れたうえで、新しいものは伝えられているが、生活の肌感覚がないかもしれないと認めた。決算発表で保険業界と採りあげるなどの取り組みをしていることも言い添えた。

最後のあいさつで梅田社長は、「自分はコメントやブログなどしないしTwitterも苦手なので、わざわざコメントしてくれるPickerの皆さんのモチベーションが正直分からなかった」としたうえで、だからこそNPを使って、コメントしてくれて、またイベントに集まってもらえて「本当に嬉しい、(みなさんが)大好き」と締めくくった。



短い時間だったが、刺激も受けた。他のPickerさんと話さなかったのはちょっと反省なので、もし次回、NPのイベントに参加できたら、交流を深められたらと思っている。また、NPには欲しい機能や改善してほしい点もあるが、それ以前に自分がもっとしっかりとした使い方をしていきたいとあらためて思った。