ファッションアプリ「iQON」のVASILY金山CEOの講演をデブサミ2015で聴いた。iQONのことは知っていたが、女性向けでもあり使ったことはなかった。とても面白く気づきにあふれる講演だった。特にサイトの企画をやっていることもあって、参考にしたいポイントが結構あった。備忘のために記しておきたい。
iQONは、用意されたファッションアイテムの画像を、スクラップブックを作るような感覚でコラージュする女性向けのアプリ。ファッション誌をめくっていて、気に入ったスカートやブラウスなどの写真を切りとってノーとに貼っていく、というような行為がスマホ上で、手軽にできる。
画像が用意されているだけでなく、サイズや角度の変更、レイヤー上下の入れ替えなど簡単にできる。2012年Appストア、2014年にGoogle play ストアでベストアプリ受賞。アイテムの写真はメーカーからの提供を受けており、購入されたらアフィリエイト収入がVASILYに入るという。気に入ったアイテムに「ハート」ボタンを押しておくとブックマークできる。ブクマしてたアイテムが無くなりそうになったり、品切れから入荷されたりした場合に通知がくる。 登録アイテム数は400万点もあるが、「経験からいうと、登録商品の半数以上が”値下がり”する」(金山氏)という。
自分でコラージュを作って楽しむだけではなく、他人のスタイリングを楽しめるし、そこから直接アイテムが買える。これは楽しそうだ。
なぜVASILYがファッションアプリをやっているかというと、代表的な存在がまだないから。たとえば検索エンジンといえば……思い浮かぶものがある。動画サイトといえば…… レシピサイトといえば…… それぞれ思いつくが、ファッションサイト(アプリ)にはそういう存在がない。
そしてこのiQONで徹底しているのが、 金山氏も翻訳監修もした『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』の 「フックモデル」の活用という。
「フックモデル」とは、「人間の行動を週刊づけさせるフレームワーク」のこと。
なぜ「習慣づけ」させるのかというと、「習慣」のチカラは想像する以上に大きい。たとえば私たちの1日はほとんど構成されている。朝起きたら歯を磨く、駅までの道の選び方、12時になったらランチに行く……。だから「ユーザーの習慣に入り込めないアプリは使ってもらえない」というのだ。
習慣づけすることで得られるメリットが4つあるという。それは
1)顧客生涯価値を向上させる
2)価格設定の自由度をあげる
3)急激な成長を可能にする
4)競争力を高める
2)の好例がevernote。登録初月に有料会員になる割合は0.5%しかいないが、 33カ月目に達した会員のうち有料会員になるのは11%いる。さらに42カ月に達すると、26%にあがるという。つまり、使っているとお金を払ってくれるようになる。
しかし人の習慣を変えるのは大変。例えばキーボードの配列(QWERTY)は、1870年代、タイプライターの時代から同じ。 人間工学的にいえば、もっと効率的なものがあるかもしれないが、 もう今更かえるなんて考えられない。
そこで仕掛けるための4つのステップが
> トリガー > アクション > リワード > インベストメント>
これを順番にみていくと、まず「トリガー」、これはきっかけのこと。 iQONのユーザーアンケートをしたら、85%以上がAppストア、Playストアで アプリのことを認知していることが分かったので、徹底的にASOをして、 アプリストアで見つけられやすいようになる工夫をした。また平日のほうが休日よりアクセスが多く、 19時以降も多いことも分かった。 スクロールしてざっとながめるだけでも楽しめるようにした。
次に「アクション」。これは分解して考えるとこういう式で表すことができる。
B = M + A + T
ビヘイビア=モチベーション+アビリティ+トリガー
このなかで、インターネットサービスで一番重要なのが「アビリティ」だと金山CEOはいう。
インターネットが誕生してすぐのころ、サイトをつくるには「HTML」を書かなければいけなかった。それから「ブログ」が生まれ情報発信が簡単になった。そういう流れをみると、
HTML、SNS、Twitter、Instagram
とネットでの情報発信の形が変わってきており、この時代の変遷にともなって情報流通量は飛躍的に増えている。だが逆に、発信に必要な能力(アビリティ)は減っている(反比例)。 HTMLを手打ちしてた時代より、インスタがある今のほうが、 多くの人が多くの情報をアップしている。
そこでiQONがやったのは 「してほしいことだけに絞る」 ということで、「テンプレート」をつくった。 洋服の画像を用意しても、それでコラージュをつくるのは やっぱりハードルが高いので、「ここにトップス」「ここにボトムス」と明示した テンプレを用意し、そこに好きな洋服の画像を置いていくだけにした。 いまでは1日の投稿の6割以上がテンプレによるものだという。
次に「リワード」 FBのいいね!、TwitterのRT、はてぶ……。いずれも「反応」があるからうれしい。 ここで重要なのが「報酬は可変的である」こと。つくかつかないか分からない、どれだけつくか分からないわくわく感。ゲーム感覚で楽しめる。 iQONでは、お気に入りのコーデに「ハート」ボタンを押すことができるので、 自分のコーデにたくさんハートがつくとうれしい。 さらにいうと、これでは不十分なので、編集部が選ぶ「スタッフオススメコーデ」という 仕組みも取り入れた。この2つの組み合わせで、さらにユーザーに楽しんでもらえるようにした。
「インベストメント」は、ユーザーがしてくれた行動が、 次の「トリガー」につながり、使えば使うほど 改善が見込めるような価値を蓄積する というものだという。
以上、項目だけズラズラと並べる形でまとめてみた。メモが足りずうまく説明しきれていないが、会場で販売していた『ハマるしかけ』を購入したので、こちらを読み、あらためてポイントと感想をまとめたいと思う。
習慣づけすることの意味
iQONは、用意されたファッションアイテムの画像を、スクラップブックを作るような感覚でコラージュする女性向けのアプリ。ファッション誌をめくっていて、気に入ったスカートやブラウスなどの写真を切りとってノーとに貼っていく、というような行為がスマホ上で、手軽にできる。
画像が用意されているだけでなく、サイズや角度の変更、レイヤー上下の入れ替えなど簡単にできる。2012年Appストア、2014年にGoogle play ストアでベストアプリ受賞。アイテムの写真はメーカーからの提供を受けており、購入されたらアフィリエイト収入がVASILYに入るという。気に入ったアイテムに「ハート」ボタンを押しておくとブックマークできる。ブクマしてたアイテムが無くなりそうになったり、品切れから入荷されたりした場合に通知がくる。 登録アイテム数は400万点もあるが、「経験からいうと、登録商品の半数以上が”値下がり”する」(金山氏)という。
自分でコラージュを作って楽しむだけではなく、他人のスタイリングを楽しめるし、そこから直接アイテムが買える。これは楽しそうだ。
なぜVASILYがファッションアプリをやっているかというと、代表的な存在がまだないから。たとえば検索エンジンといえば……思い浮かぶものがある。動画サイトといえば…… レシピサイトといえば…… それぞれ思いつくが、ファッションサイト(アプリ)にはそういう存在がない。
そしてこのiQONで徹底しているのが、 金山氏も翻訳監修もした『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』の 「フックモデル」の活用という。
「フックモデル」とは、「人間の行動を週刊づけさせるフレームワーク」のこと。
なぜ「習慣づけ」させるのかというと、「習慣」のチカラは想像する以上に大きい。たとえば私たちの1日はほとんど構成されている。朝起きたら歯を磨く、駅までの道の選び方、12時になったらランチに行く……。だから「ユーザーの習慣に入り込めないアプリは使ってもらえない」というのだ。
習慣づけすることで得られるメリットが4つあるという。それは
1)顧客生涯価値を向上させる
2)価格設定の自由度をあげる
3)急激な成長を可能にする
4)競争力を高める
2)の好例がevernote。登録初月に有料会員になる割合は0.5%しかいないが、 33カ月目に達した会員のうち有料会員になるのは11%いる。さらに42カ月に達すると、26%にあがるという。つまり、使っているとお金を払ってくれるようになる。
しかし人の習慣を変えるのは大変。例えばキーボードの配列(QWERTY)は、1870年代、タイプライターの時代から同じ。 人間工学的にいえば、もっと効率的なものがあるかもしれないが、 もう今更かえるなんて考えられない。
そこで仕掛けるための4つのステップが
> トリガー > アクション > リワード > インベストメント>
これを順番にみていくと、まず「トリガー」、これはきっかけのこと。 iQONのユーザーアンケートをしたら、85%以上がAppストア、Playストアで アプリのことを認知していることが分かったので、徹底的にASOをして、 アプリストアで見つけられやすいようになる工夫をした。また平日のほうが休日よりアクセスが多く、 19時以降も多いことも分かった。 スクロールしてざっとながめるだけでも楽しめるようにした。
提供する機能をユーザーに「してほしいこと」だけに絞る
次に「アクション」。これは分解して考えるとこういう式で表すことができる。
B = M + A + T
ビヘイビア=モチベーション+アビリティ+トリガー
このなかで、インターネットサービスで一番重要なのが「アビリティ」だと金山CEOはいう。
インターネットが誕生してすぐのころ、サイトをつくるには「HTML」を書かなければいけなかった。それから「ブログ」が生まれ情報発信が簡単になった。そういう流れをみると、
HTML、SNS、Twitter、Instagram
とネットでの情報発信の形が変わってきており、この時代の変遷にともなって情報流通量は飛躍的に増えている。だが逆に、発信に必要な能力(アビリティ)は減っている(反比例)。 HTMLを手打ちしてた時代より、インスタがある今のほうが、 多くの人が多くの情報をアップしている。
そこでiQONがやったのは 「してほしいことだけに絞る」 ということで、「テンプレート」をつくった。 洋服の画像を用意しても、それでコラージュをつくるのは やっぱりハードルが高いので、「ここにトップス」「ここにボトムス」と明示した テンプレを用意し、そこに好きな洋服の画像を置いていくだけにした。 いまでは1日の投稿の6割以上がテンプレによるものだという。
次に「リワード」 FBのいいね!、TwitterのRT、はてぶ……。いずれも「反応」があるからうれしい。 ここで重要なのが「報酬は可変的である」こと。つくかつかないか分からない、どれだけつくか分からないわくわく感。ゲーム感覚で楽しめる。 iQONでは、お気に入りのコーデに「ハート」ボタンを押すことができるので、 自分のコーデにたくさんハートがつくとうれしい。 さらにいうと、これでは不十分なので、編集部が選ぶ「スタッフオススメコーデ」という 仕組みも取り入れた。この2つの組み合わせで、さらにユーザーに楽しんでもらえるようにした。
「インベストメント」は、ユーザーがしてくれた行動が、 次の「トリガー」につながり、使えば使うほど 改善が見込めるような価値を蓄積する というものだという。
以上、項目だけズラズラと並べる形でまとめてみた。メモが足りずうまく説明しきれていないが、会場で販売していた『ハマるしかけ』を購入したので、こちらを読み、あらためてポイントと感想をまとめたいと思う。