2013年9月6日金曜日

ライブバージョン聴きたい?聴きたくない?ーー「好き」とはどういうことか

※画像はイメージです

ダウンタウンの松ちゃんがずっと昔、トークで「好きなアーティストのライブに行って好きな曲が演奏されると思ったら“ライブバージョン”でCDと全然違ってて、『余計なことをするな』と思った」と言っていて、「あぁ、その気持ち分かるなぁー」と思ったことがある。

 しかしその後しばらくたってから、「あれ? 間違いだったかも」と思い直した。

 なぜなら、「好きなアーティストが歌うのなら、どんな曲でもどんな歌い方でも聴きたいと思うものではないか?」と思ったからだ。たとえ聴いたことのないような曲でも、その人が歌うだけで聴きたくなる。有名な曲でなくても、たとえ無名アーティストの曲のカバーでも、とにかく何でもよかったりする。それが「好き」ということではないかーー。

 それに、CDと同じ歌い方が聴きたいならCDを聴けばいいわけだ。その瞬間、好きなアーティストが歌いたい歌い方をして、それを聴ける経験は、その日その瞬間、その場にいたからこそでもある。これはチケットを取ってわざわざ出かけて行ってはじめて体験できることだろう(DVDやBlu-rayで後で見られるし、最近は配信もしているが)。

 その一方、さらに改めて考えてみると、好きなアーティストの楽曲だからといってすべてが好きというわけでもなかったりする。

 そこで、「本当に好き」とはどういうことなのだろうかと考えた。
 自分なりの結論をいってしまえば、「好き」のあり方はいろいろあり、大別して「全肯定」と「是々非々」がある。また「こういうあり方でないといけない」ということはないから、それぞれの「好き」を楽しめばいい、ということになると思う。

 ネットでは、あるアーティストの狂信的なファンが、そのファンに対する批判的なコメントをした人に対してとにかくdisるという光景が見られる。自分も以前、あるアーティストに対してかなり気を遣いながらも、能力的にまだまだである点について指摘したら、(かなり気を遣っていたにも関わらず)感情的なリアクションをされたことがある。そういう場合、まず冷静な議論はできないからスルーカを発揮するよりほかない。

 偏見かもしれないけれど、そういう思い込みの強いファンは若い人に多いのではないかと思う。何もジャニーズのファンが皆そうとは言わないし、若くてもマチュアな楽しみ方のできるファンもいるだろう。逆に年を取ったイタいファンがいることも承知しているが。

 アイドルファンの中には楽曲の善し悪しを問わず、支えるためにCDを買うという層がいる。彼らは好きなアイドルの活動(CDリリース)に対しては「全肯定」しているといえる。それに対して批判的な意見もあろうが、でもCDが売れなきゃ活動が続けられないわけだから、買い支えるというのは一つのあり方だろうと思う。
 ただその中には「買うけれども内容についてはダメなものはダメという」という人もいるかもしれない。そう考えると、セールスという尺度だけでは、そのCDリリースという活動に対しての評価はしきれない。

 「全肯定」という好きのあり方について感じるのは「羨ましい」ということだ。とかく批判をするのがカッコいい、ツッコまなきゃいけないと思いこんでいる人が多い時代にあって、「とにかく好き」といえる対象を見つけた人は幸せではないだろうか。その良さが分からない周囲の人間からみたら「??」でいっぱいかもしれないが、何かに、誰かに夢中になれること自体はとても羨ましいと思う。

 自分には今、好きなアーティスト・歌手が数人、数グループいるが、必ずしも「全肯定」はしていない。でもそれが「本当に好き、ということではない」とも思っていない。

※ 本エントリはリップシンクに対する批判ではありません。